パイレーツ・オブ・スペース

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「お嬢!」 「ジェシカ!」  ジェシカはようやく我に返った。 「大丈夫か? ジェシカ」 「顔色が悪いですぜ、お嬢」 「皆……」  ジェシカは懐から巾着袋を取り出した。 「ジェシカ、それは……」 「ああ、父さんが死んだときに壊れた杯の破片だ。私は、いや……はあの時から一度も忘れたことはない。父さんの後ろ姿を、あのデカい背中を見て育ってきたんだ。オレがやらないで、誰がやる?」 「ジェシカ……」  ジェシカは職員の肩を叩いた。 「……なあ、悪いが旅客船をひとつ貸してくれ」 「えっ?」 「えっ、じゃない。さっさと貸せって言ってんだよ。オレが海賊を止めに行って来る」 「お客様、ご冗談は……それに、保安検査を通過していない方をここから先に入れるわけにはいきませんよ」 「冗談じゃない! 泣く子も黙るのジェシカ様が、暴れ者どもをとっちめてやるって言ってんだよ。さっさと用意しな!」 「ひぇー! か、かしこまりました!」  ジェシカの迫力に押された職員は、慌てて無線を入れる。 「ジェシカ……いいのか?」  ポルトの言葉に、ジェシカは力強く頷いた。 「オレは父さんの娘だ。だが、オレは父さんと違う……ひとりであの世にいくような真似はしない。全員で戦うぞ! オレに続け!」 「さすが、お嬢!」 「お嬢、万歳!」  などと、部下たちから声が上がる。 「ポルト、今まですまなかった……皆も。過去を振り返るのはもうやめた。だから、もう……海賊を憎むのは今日でしまいだ。これからは、商いとして、海賊としてお前たちとともに戦う」
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