47.「ルーシャン殿下は、本日帰還されます」

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 魔物退治の部隊が王都に帰ってくる予定日はあれから五日後と言うことになった。諸々の後処理などを考えれば、それが妥当だということだ。  そして、いよいよルーシャンたちが帰ってくるとなった日。ドロシーは浮かない表情でポーションの調合に当たっていた。  何となくだが、やはり嫌な予感がぬぐえない。そう思いながらも自分に課せられた役目を全うしようとポーションを調合する。兵士や騎士、王子たちの人数を考えるにかなりの量があっても問題はないはずだ。  そんなことを考えながら何時間が経っただろうか。不意に部屋の扉がノックされ、リリーの「お嬢様」という声が聞こえてくる。時計を見れば、時刻は午後三時。どうやら、昼食も食べずに調合に没頭していたらしい。 「どうしたの?」  ドロシーが扉越しにそう返事をすれば、リリーの「いえ、ダニエルさんが、いらっしゃいました」と静かな声で告げてくる。そのため、ドロシーは慌てて立ち上がり部屋の扉を開ける。  しかし、すぐにリリーはダニエルとしか言わなかったことに気が付く。ルーシャンは、来ていないのだろうか? (いえ、もしかしたらもうすぐ帰還するというお知らせかもしれないわ。……まだ、帰ってきたわけではないのよ)  自分自身にそう言い聞かせ、ドロシーはダニエルを部屋に入れるようにとリリーに指示をした。私室ならばまだしも、ここは仕事部屋である。男性が入っても特に問題はない。  それからしばらくして、ダニエルが顔を見せた。が、彼の表情は何処となく暗い。主が今日帰ってくるというのに、どうしてそんなにも苦しそうなのだろうか。 「……ダニエル、どうしたの?」  応接スペースに腰を下ろしドロシーがそう問えば、彼は少し視線を彷徨わせる。だが、意を決したように「……驚かずに、聞いてください」と静かな声で告げてくる。
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