1369人が本棚に入れています
本棚に追加
首を傾げながら、真剣な面持ちでそう問いかける。そうすれば、彼は噴き出した。それに何処となく腹を立てるものの、すぐに彼が真剣な面持ちでドロシーを見つめてくるものだから、何も言えない。
「――あぁ、好きだよ」
そして、彼のきれいな唇が紡いだその言葉に――ドロシーは顔が真っ赤になってしまう。
「俺は、ドロシー嬢のことが好きだよ。だから――離縁したくない」
真摯に告げられたその言葉に、ドロシーはどう反応すればいいかがわからない。だけど、たった一つだけ言えることがある。
だからこそ、ドロシーはゆっくりと息を吸って、吐く。それからルーシャンのことを見つめ、勢いよく立ち上がった。
「では、こうしましょう」
――離縁したくなかったら、私のことを惚れさせてみてくださいな!
第一部・END
最初のコメントを投稿しよう!