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目覚まし時計より早く起きた朝。
部屋の窓から差し込む日の光が眩しいと呟きながらベットから体を起こす。ベットから起きると、部屋に置いてある自身の身長程の高さがある姿見鏡を前に立つ。
「相変わらず酷い寝ぐせね……珍しく目覚ましより早く起きたから眠いわ……」
大欠伸をしながら伸びをしているのは黒羽美桜である。
彼女は現在16歳であるが、高等学校には通わずに社会人として働いているのであった。なぜ高等学校に進学をしなかったかというと、両親が共に他界をしてしまっているので自身が働くことによって妹に苦労をさせたくないと考えた結果である。
「さて、早く着替えないと。服装は自由だけど、自由ゆえに何を切ればいいのかわからないわ……」
クローゼットを漁りながら何を着ればいいのか悩んでしまう。
姿見鏡を見ながらこれもダメ、これなら良いかもと呟きつつ、身支度を整え始める。美桜は手櫛で寝ぐせを整えると、薄い茶色の肩にかかる程度の長さを持つしなやかな髪がセットされる。
「うん。今日もバッチリね!」
寝ぐせを整えると、姿見鏡で自身の顔を見始める。
目鼻立ちがハッキリとして華々しいその顔は、誰が見ても美しいと感じる顔である。また、引き締まっている体をしつつも女性らしい体型をしているので、そのスタイルも相まって目立つ容姿をしているのであった。
「お父さんとお母さんの代わりに、私が琴音を支えないと。苦労は私だけでいいのよ」
両手で両頬を軽く叩くと、枕元に置いていたスマートフォンからアラーム音が部屋中に鳴り響く。
「あ、起きる時間にもうなったのね。準備をしているとあっという間だわ」
欠伸をしつつ部屋を出ようとすると、部屋が軽くノックされた。
「いいわよー」
その言葉を発すると、扉が静かに開いた。
扉を開けて入って来たのは妹である琴音である。琴音は1つ年下の中学校3年生であり、既に紺色の制服を着ていた。琴音は美桜よりも身長が低く、肩辺りに顔がある。また、黒髪の艶のある髪をし肩を超す長さを持つ。
琴音は黒髪が好きなようで、いつも丁寧に整えるのが日課だと前に話していた。また、年齢よりも幼い容姿をしているがどこか大人びた印象も受け、スタイルは愛理ほどではないが女性らしい体つきをしている。
「あ、お姉ちゃん起きてたの? 今日は早いね。いつもは揺すっても起きないのに」
「私だってたまには早く起きるわよ。ていうか、琴音もなんかワクワクしているじゃない? 何かあったの?」
いつもとは違う雰囲気を放つ琴音に話しかけると、お姉ちゃんのことだよと笑顔で言葉を発する。
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