1人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
「だといいけど……私の属性も少し変わっているから扱いにくいのよね。お姉ちゃんは珍しい属性だし、一家全員変な属性だね」
「しょうがないわよ。お母さんたちも珍しかったし、きっと遺伝よ。授かったんだから大切にしましょう」
「そうだね。私はこの属性を活かせるようにするわ! お父さんがこの属性で皆を救っていたように!」
琴音は掌に小さな氷を1つ発生させた。
その氷は小さいが確かに琴音が発生させた魔法である。氷属性は父親が英雄活動で扱っていた魔法であり、琴音が授かった大切な魔法であった。
「使おうとじゃなくて、魔法と心を通わせれば扱えるようになるわよ」
「魔法と心ってよくわからないよ……」
「これって言える言葉がないのよ。魔法は確かにそこにあるけどないようなもので、う~ん……」
2人して頭を抱えて悩んでいると、テレビ画面から7時30分になりましたとアナウンサーが声を発していた。
「あ、そろそろ行かないと。部屋で着替えて行くから、学校を楽しむのよー」
「うん! お姉ちゃんも仕事頑張ってね!」
琴音に手を振って部屋でパンツスーツに着替えて美桜は家を後にした。
右手に持っている鞄には琴音が作ってくれた弁当が入っており、いつもありがとうと心の中で言葉を発する。
「でも、家があってよかったわ。3階建ての一軒家だけど、お父さんのおかげで路頭に迷うことがなかったのが幸いだったわ」
父親と母親の残してくれた一軒家で琴音と2人で暮らしている。4人で暮らしていた多くの思い出が詰まっている家を、琴音と共に守っていこうと2人は決めていたのである。
美桜は家を横目で見ながら駅への道を進んで行くと、近所のお婆さんが道路に水を撒いている姿が見えた。
「こんにちわー! 今日も元気で良かったです!」
「あら、美桜ちゃんじゃない。今日は早いのね」
「研修がやっと終わったんです! これから本部に行ってきます!」
お婆さんに答えながら駅に向かって走って行く。
平日の朝ということもあり、駅には人で賑わっていた。学生や社会人など多くの人が駅の中を歩いている。
「人が多いなー。あ、駅の広告に琴音の好きな芸能人が映ってる」
美桜は駅の壁から前方に投影をされている芸能人の姿を見て、琴音の好きな理由がわからないと小首を傾げていた。
ちなみに、投影は魔法と科学が合わさって出来ているので、魔法なしでは出来ない技術となっている。
「昔はわからないけど、今は魔法と科学の融合で凄い技術が多いわよね。この先の未来ではどうなるのかしら」
今よりも凄い技術が出来ているんだろうなと思いながら、美桜は駅の中を進んでいく。
最初のコメントを投稿しよう!