第1章 夢の始まり

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「確か本部は、私の住んでいる武蔵の中心部だったわね。駅は英雄公社駅に行けばいいのね」 (しかし駅名になるほどに英雄公社って凄いのね……よく私が入れたものだわ。やっぱりお父さんたちの功績や娘だからなのかしら?)  それほど能力が高くもなく魔法も未だに上手く扱えてはいないので、よく試験を通って研修を終えられたなと電車に乗りながら考えていた。 「琴音のことは言えないけど、私もまだ魔法を上手く扱えていないのよね。この属性を扱えるようにならないと」  掌に小さな光を出現させると、仄かな光を放ちながら拡散して消えてしまった。その様子を見た美桜は、深いため息をついて空いた椅子に座る。 「地元の駅から乗り換えなしで行けるのが嬉しいわね。だいたい40分くらいだったかしら?」  乗車時間のことを呟きながら外の景色を見る。  外では楽しそうに歩いている子供たちや、忙しそうに走っている社会人の姿が見えた。こんなに平和ないつも通りの時間が流れているが、魔法を悪用をする魔法犯罪者によってあっという間に恐怖の世界に変えられてしまう。 「私は親の意志を継いで世界を救うの。絶対に」  改めて英雄公社で働く意味を確認すると、いつの間にか英雄公社駅に到着をしていた。  英雄公社駅は国が設立をした英雄公社や、それに関連をする企業が建物を構えている地域である。 「ここでも多数の人が下りるわね。降りる人が私たちのフォローや武器を作ってくれているのかしら?」  小首を傾げて考えながら電車から降りた。  ホームから階段を下っていくと、壁に英雄公社の広告がずらりと貼られているのが見える。 「こんなに広告を張ってる……やっぱり凄い企業なんだな……お父さんたちはこんなに凄い企業で英雄として働いていたんだなー」  壁に貼られている広告を見ながら美桜は階段を下りた。  改札を抜けると駅内の柱から働いている多くの英雄たちの姿が空中に投影されている。 「見たことない英雄や、テレビに主に出ている英雄も投影されてる。知らないだけで沢山いるのね」  口を開けて投影をされている英雄たちを見ていると、出社時刻が迫っていることに気が付いた。 「ヤバイ! 早く行かないと!」  スマートフォンを見て時間が迫っていると焦ると、一気に駆け出して英雄公社を目指す。  駅から出るとロータリーが広がっており、そこから続いている道を進むと目の前に英雄公社が見えてくる。 「大きい建物だなー。全面ガラス張りだし、10階建てで横長の建物だ」  美桜は目に映る英雄公社の建物を見て凄いと呟いていた。
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