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「警察の方が現れるであろう場所で待っているので、そこに移動をしてください」
そう言いながら1枚の紙を手渡される。
その紙には英雄公社から離れた場所の住宅街にある商店街が示されていた。なぜ英雄公社のある地域で犯罪を犯そうとするのかわからないが、紙に指示されている場所に行けばわかると言われたので行くことにした。
「あ、言い忘れていました。最終試験では武器の携帯が許可されます」
「武器ですか!?」
「そうです。凶悪な魔法犯罪者から軽微な犯罪者まで近頃は武器を持つことが多いですので、英雄だけは武器の携帯が許可されているのです」
「そうなんですね……私は武器を持っていないのでどうしたらいいでしょう?」
頭を抱えてどうしようと悩んでいると、受付カウンターの女性が武器は届けられていますと受付カウンターの中から剣を取り出した。
「黒羽さんのお父様が使用をしていた剣です」
「お父さんが使っていた剣……」
剣を受け取った美桜は、鞘から剣を引き抜いた。
銀色に輝く鞘と共に、剣身も鮮やかな銀色の輝きを放っている。
「剣身が輝いてる…‥間近で見るとより輝いて見えるわ……」
剣の輝きに目を奪われていると、美桜は剣の名前が気になってしまう。
「確か剣には名前があったと思うけど、特に聞かされたことがないのよね」
「そうなのですね。ご家族なので知っているものだと思っていました」
知っているものだと言われ、家族でも知らないことがあるのだと少し落胆をしてしまう。だが、今は落胆をしている場合ではない。仕事をして1人でも多くの国民を救わないといけないからである。
「あ、言い忘れていました。英雄が持つ武器は特殊な素材で作られています。なので、武器に魔力を流して念じると形状を変えて持ち運びやすくなりますよ」
「本当ですか!?」
言われた通りに魔力を流して持ち運びやすくなれと考えると、剣が淡く光って簡素な銀色の指輪に変化をした。
「指輪になったわ。これなら指に付ければいいから英雄だとわからないわね! じゃ、指示された場所に行ってきます! 武器、ありがとうございます!」
「いえ、応援をしていますので頑張ってください」
「ありがとうございます!」
受付カウンターの女性に一礼をすると、美桜は紙に書かれている場所に移動をすることにした。
英雄公社から出て右に進むと閑静な住宅街が広がり、その住宅街を少し進んだ先に目的地である商店街が見えてくる。
「商店街に来たけど、警察の人はどこにいるのかしら?」
住宅街を抜けた先にある商店街の入り口に到着した美桜は、キョロキョロと周囲を見渡す。数分間、その場で周囲を見渡していると突然捕まえてという可愛らしい叫び声が聞こえてきた。
「うひゃ!? な、なに!?」
「あなたの方に窃盗犯が逃げているの! 捕まえて!」
「あ、わかりました!」
指輪に魔力を流して剣を出現させる。
鞘から抜こうと考えたが、気絶をさせて捕まえようと考えた。
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