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「ただの小娘が邪魔をするな! お前も魔法を使えるのなら、自分のために使ったらどうだ!」
ニット帽の魔法犯罪者はそう叫びながら光壁に向けて何度も殴りかかっていた。その攻撃は連続で行われており、雷を纏っているので威力と速度が予想以上に凄まじかった。
「くぅ! 押される!」
展開をしている光壁に亀裂が入り始め、今にも砕けそうになってしまう。
しかし、それでも絶対に捕まえて英雄になると叫ぶと、光壁を解除して屈んでしたから剣を握る手に力を込めてニット帽の魔法犯罪者の腹部を鞘で突きをした。
「私は平和のために魔法を使うの! あなたとは違うわ!」
そう言いながらニット帽の魔法犯罪者を突きで吹き飛ばすと、女性警察官の前の地面に倒れて気絶をしてしまう。
「なんとか勝てたかしら……これが実践なのね……」
緊張の糸が切れたのか地面に座って空を見上げている。
疲れたと言いながら視線を気絶しているニット帽の魔法犯罪者に向けると、女性警察官が手錠をかけている姿が目に映る。
「やったわ……これで試験に合格だわ!」
ガッツポーズをして美桜が喜んでいると、女性警察官が目の前に歩いてきて手を差し出した。
「協力してくれてありがとう! あなたのおかげで捕まえることが出来たわ! 私より年下なのに恐れないで戦ったのは凄いわ!」
「いえ、無我夢中でした……魔法を悪用するのが許せなくて……」
女性警察官が差し出した手を掴んで美桜は立ち上がる。
すると、男性警察官が君はまだ子供なのにこの道を選んだなと声をかけてきた。
「はい。両親が英雄でしたので、意思を継いで入りました!」
「それは凄い。学校には通っているのか?」
「高校には進学しませんでした。両立は難しいので」
英雄の試験に受かるのも凄いが、まだ子供なのに凄いなと男性警察官は驚いていた。
「私にはこれしかありませんでしたから、この道を進んで行きます!」
笑顔で返した美桜に女性警察官が突然抱き着いてくる。
「わ、な、なんですか!?」
「まだ子供なのに凄いと思うわ! 魔法は私も良い方向に使うべきだと思ってるわ! 一緒に平和のために働きましょう!」
「はい! よろしくお願いします!」
2人が楽しそうに話していると、男性警察官がそろそろ行くぞとニット帽の魔法犯罪者の両腕を掴んで歩き出そうとしていた。
「わかりました! あ、ちなみに私は朝倉陽彩って名前よ。あなたは?」
「私は黒羽美桜です! よろしくお願いします!」
美桜が頭を下げると、男性警察官が英雄公社から協力をするにあたって情報をもらっているだろうと陽彩は怒られてしまった。
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