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序章
真新しい服を着せられ解放された中村は
忘れたくても忘れられない快楽を思い出しては
立っていられない程の体の震えを感じていた。
どうやって自宅に辿りついたか覚えていないし
ドアを開けて中に入り、ホッとしたのも束の間
足が震えて立っているのもままならず、框に座り込み
体の芯がジンジンと音が聞こえる程疼くから
思わず両手で自分の身体を抱え込んでしまう。
すると、今度は、頭の中で男の低い声が響き渡る。
命じてくる幾つもの言葉が、頭と耳の中で反芻し
中村は、座り込んだまま、すすり泣いた。
その晩は、何とか眠ろうと目を閉じて頑張ってみたが
彼らから受けた行為を思い出して、興奮と疼きから
自慰してみるが、これと言った成果は得られなかった。
翌日もそのまた次の日も似たようなもので
中村はどんどん落ち着きを失くしていた。
(あぁ・・俺・・堕ちたんだ)
そう思い知ると、居ても立ってもいられなくなっていた。
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