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三十後半くらい。結婚指輪はしていない。
知的で大人しそうで、黒縁のメガネの奥の瞳は、心底ロミを案じているようだ。
もしかしたら、こいつの家にいるんじゃないか。
勘ぐってしまう。
なんのために。
僕から逃げるためか。
なぜだ。
ロミが望んだように、僕は距離を置いた。
ロミのマンションに入り浸るのはやめたし、電話やメッセージだって、ロミがくれるまでしなかったじゃないか。
失踪した状況に不審な点が多かったため、警察は捜索願を受理してくれた。
もしかしたら、ロミが何者かに連れ去られて、その後、その何者かがロミの部屋を片付けた可能性も捨てきれなかったからだ。
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