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「あの、望月路美は……」 「失礼ですが、ご家族の方ですか」 「弟です」    僕は免許証を見せた。    カーテンの向こうにいたロミは、ベッドの上に腰掛けて、不安そうな顔をしていた。 「お電話でもお伝えしたとおり、記憶に混乱があるようです。 後で、医師から詳しい説明があると思いますが……」 「ロミ、僕だよ」  ベッドの横に膝を折って寄り添い、ロミの白い手を握った。    怯えたように、ロミは手を引っ込めた。    指輪を贈ったときと比べ物にならないくらい、狼狽している。 「望月さん、弟さんですよ」    ロングヘアを揺らして、ロミは首をかしげた。
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