イカが降ってくる世界

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 私はテレビにかじりついて見ていた。画面にはお天気リポーターが映っている。 「続いて明日の予報です」  リポーターが苦い顔をして、申し訳なさそうに言葉を発した。 「明日は、イカ大荒れです。気をつけてお過ごしください」 「またかー勘弁してよね」 誰もいない部屋で画面に向かって嘆いた。  明日は学校に行かないといけない。でも、明日も空からイカが大量に降ってくる。昨日も、一昨日も、ずっと前から。  イカは3年前に、突如、全世界に降り始めた。  なぜ降るようになったのか、未曾有の事態に世界各国が躍起になって調べたけど、未だ解明できていない。イカが降ってくることは避けられない日常になっていた。  最初は何かのお祭りなのだろうか、異常気象だろうかと騒いでいた。でも、3年も経過してイカは降るものだ、そういうものだと人々は考え方をシフトした。習慣は生活を変えるという言葉を思い出した。
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