永遠の待ち合わせ[読みきり]

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 高校生活最後の夏休み、陸上部も引退してあとは受験生活が待っているだけの人生、その前にオレは生まれてはじめて好きな女の子にデートを誘ってみた。  同じクラスの真知子は、キレイというよりはカワイイという感じで、性格も控え目でオレはそんなところに惹かれた。 「よかったら今度、映画を観に行かないか。SF映画で面白いって評判のやつ」  登校日の帰りにタイミングよく二人きりになったときに、思いきって誘ってみた。真知子は驚いた顔をしたが、いいよと頷いてくれた。やった、人生初のデートだ。  街中に近い真知子の家の近くの数寄屋橋公園で待ち合わせて、アドレスと電話番号を交換した。デートの日が楽しみで、真知子からあと何日だね春樹くんとくるメールがとても嬉しかった。  デートの当日、電鉄で待ち合わせ場所である数寄屋橋公園の最寄り駅に着くと、時間を確認した。午前十一時十四分、待ち合わせ場所まではバスでも行けるが、早く行きたい気持ちと、居ても立っても居られない気持ちが、走っていくことを選択させた。  幹線道路沿いの歩道をダッシュして走る。途中、信号待ちでパトカーと並び、青信号と同時にスタートしてしばらく並走したが、残念ながら抜かれてしまった。  等間隔に植えられた街路樹の木陰から高いフェンスが見えてきた。もうすぐ待ち合わせ場所だ。  幹線道路沿いにあるせいか、数寄屋橋公園は三方を五メートル程のフェンスに囲まれ近くの公園はフェンスで囲まれていて入り口はひとつだけ、ちょうど真反対にある。  フェンス越しに待ち合わせ場所である橋のモニュメントを見ると、そこには空色のワンピースを着た真知子がいた。よかった、来ていてくれた、待っててくれた。  その時、軽く風がふいてワンピースが抑えられ、真知子の後ろ姿のラインがあらわになった。思わず、うぉっと目を見張ってしまう、あのコと今日デートするんだと思うと俄然張り切ってしまう。  もどかしく思いながらフェンス沿いに入り口に走って向かう。乗り物が入れないように互い違いに入り口にある腰までの高さの柵を、通り抜けるのももどかしく思いながら中に入る。  そこは先程降りた最寄り駅の出口だった。  えっ、何がどうなったんだ。  オレはなにが起きたかわからずに、そこに呆然と立ち尽くしてしまった。
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