愛着

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 心臓が焦る中、私はソファにもたれかかっていた。眉間の皺を指で押さえながら行き場のない焦りと怒りをおさえつける。もう片方の手で今にも飛び上がりそうな足をおさえつつ、食い込む爪の力が、まだ私の制御下の範疇だということに怒りを覚えた。  一度冷静になろうと深呼吸をした。そういえば昔、幼い頃に一度だけ失くしたことがあった。  夜中の3時にふと目が覚めたときのこと。もぞもぞと布団の中で寝返りをうつと、そこにいるはずのつーくんがいないのだ。一瞬にして覚醒し、部屋中を引っ掻き回して探した。途中入ってきた母親の青ざめた顔を見た瞬間、意識が遠のいた。  気づくとつーくんを抱えていた。あぁ愛しのつーくんだ。もふもふとした触り心地につぶらな瞳。まさしくつーくんだ。  だが、知らない女の人が私のつーくんを奪おうとしてくる。逃げても逃げてもどこまでも追いかけて奪おうとしてくる。  ついには捕まり、私の腕を強く握りしめてくる。怒鳴られた後、首も掴まれ絞められる。振り解けない。意識が遠のき恐怖を覚える。それでもつーくんだけは決して離さなかった。  目を覚ますと病院にいた。すぐにわかった。隣につーくんがいたのだ。たとえ殺されそうになっても離さない。それほど私にとってつーくんは大事なのだ。
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