振り返ってみれば

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「いや、師匠。笑い事ではありません。 血闘道を知らない者に超誇丸を食べさすなんて 危険極まりないのでは」 巌雄が意見を述べる。 「いやいや、あれは見学者用に威力を弱めた物でな。 大したことはできん。 ほれ、わしらも入門者が欲しいからな。 営業活動というやつでな。 ま、そういう事じゃ」 師匠はニコニコしてそう言った。 「難しいんですよぉ、見学者用の超誇丸を食べてもらうの。 ほら、チョコって大体小さい子達だったら 喜んで食べてくれるけれど 鼻血がぶわっと出るから食べさせる訳にはいかないし。 十代は説明すると、警戒心と恥じらいで食べてくれないので なかなか入門者がいないんですぅ」 そう言ったのは祈念みこだった。 彼女は俺達にお茶と超誇丸を用意する為に 後からやってきたのだった。 そして、俺達にお茶を配った後 超誇丸の入った皿を俺達の真中に置いて、 オレの左隣に座った。 オレの右に巌雄がいるのでオレはちょうど真ん中に 挟まれる形になった。 「だから犬飼君がおじいちゃんじゃない、 師匠の説明を聞いて迷わず見学者用の超誇丸を 食べてくれた時は嬉しかったな♪」 「い、いや。あの時はその追い詰められていて 必死だったから」 オレはちらりと巌雄の方を見てだらだらと冷や汗を 出しながら答えた。 するとワハハと巌雄が笑って 「だけどお前は超誇丸を使わなかったよな。 俺はこのガタイだから怖がられるタイプだからな。 それにうちの犬に怪我をさせられて頭にきてたし。 だけど、おまえは真正面から俺を見て 謝ったんだよな」
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