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日常は尊い
翌日ー2月15日
オレはノロノロと学校へ登校した。
・・・はぁ気が重い。
何しろオレを振った祈念 みこは、
同じ16歳で同じ学校で同じクラスなのだ。
(生徒数が少ないのだ)
くどくなるが、
オレは草食男子でもやしっ子で彼女いない歴=年齢の教室の隅で
静か―に生きてきたのだ。
その俺が一か月前、ひょんな事から
彼女の祖父が開いている血闘道場へ
入門することになり、そのきっかけも彼女への一目惚れが
原因というものだった。
(それまで全く意識もしていなかったのに!!)
なーんで惚れちゃったのかなぁ、みこちゃん。
「おい、犬飼、犬飼 優人!」
「う、うわぁあ、て巌雄か。
後ろから驚かすなよ。オレの心臓は鳩並みなんだぞ」
アンニュイな気分に頭が占領されていたオレ。
いきなり後ろから男のだみ声で呼ばれ、
首に太い腕を回され現実世界に戻された。
「悪ぃ悪ぃ、いくら呼んでもお前が返事しないから
ちょいと大きい声を出しただけだろ」
「お前の大きい声はメガホンで吠える位の大きさだっ」
「ガハハハッそんなの気にしていたら
お天道様の下を歩けるかっ」
周囲を全く気にしないこいつの名前は大土佐寺 巌雄。
身長190㎝、名前の通り厳つい体つきで何故か
学帽のツバの真中が割れているのを
平気でかぶり、しかも下駄を履いているという変わり者だ。
だが、その体格もあって本人にその気がないのに
いわゆる不良連中に人気があり、〆られそうになるのを
撃退した後は、不良連中から頭を下げられる存在と
なっている。
おかげで普通の生徒からは同じ1年生ながら敬遠されている。
(しかもこいつも同級生)
でもこいつはそんな事をちっとも意に介さない。
今日も元気で羨ましいことだ。
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