ひぇええタイムスリップしたら即戦闘?

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「何をたわけた事を!どうせどこかの間者であろう。 殿、信じてはなりませんっ」 そう言ったのは、壁にもたれかかって刀を杖代わりにしていた 陣笠を被ったお侍さんだった。 そーですよねぇ。どうみても怪しいですよねぇ。 でもここは信じてくれないかな。 「落ち着け、惣吉。・・・まぁ細かい事を問えば 色々出てきそうだが、助けていただいたのだ。 礼を言う」 ほっ、良かった。 「で、ほのぼのしている所申し訳ないんですがね。 あれ、どうするんですか」 巌雄が指さしたのは、オレの血の網で動きを止められ、 巌雄の血で作った壁に挟まれぴくぴく動いている 巨大な黒狼だった。 「おいたわしい」 ぽつりと殿様が言う。 「あのう、すいません。あなた方がそれだけ 怪我を負って、狂暴な振る舞いをするあの物の怪を どうして庇うのですか?」 オレは殿様に問いかけた。 すると惣吉さんがまた何か言おうとするのを 殿様が手で制して 「そなた達がいう『巨大な黒狼』は この地の守り神である天狼神様が 瘴気により荒魂(あらみたま)となられた お姿なのだ」 殿様は淡々とオレ達に説明する。 「我はこの地の領主と神職を兼ねておる。 何とか天狼神様をなだめようと 必死で祈っておったのだが聞き入れていただけなかった。 そなた達が加勢してくれて今の状況なのだが」
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