ヒーローなれないんかーい

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ヒーローなれないんかーい

うーん。 なんかヒーローがやってきて怪獣倒してバンザーイする 爽快感が全くない話だ。 簡単に言うと、あの巨大な黒狼、倒しちゃだめなのね。 オレ達の微妙な顔つきを見て、 殿様は、 「そうか、そなた達でも天狼神様を 和魂(にぎみたま)にお戻しすることはできぬか」 殿様は若い。多分、オレらより少し上位かな。 そして、典型的な日本美男。 いいなぁ、モテるんだろーなー。 「我に力が無いばかりにっ」 悔しそうに叫ぶ殿様。 いかんいかん。人の顔にみとれている場合ではない。 その時、 「あのう、穏やかな和魂に天狼神様におなりになって欲しいんですよね。 できますよ」 いきなり祈念さんがそう口をはさんだ。 『へ?』 その場の全員が呆けた声を出した。 祈念さんがビニール袋から巻物を出して開いて、 (祈念さん、ていうかあのビニール袋つえぇぇ) 「私達三人が、それぞれ赤青白の笹にくるまれた 超誇丸を食べて、それぞれの技を一斉に 天狼神様にぶつければいいんですぅ」 「祈念さん、そんな事であんな巨大な黒狼じゃなくて 天狼神様を退治じゃなく、穏やかなかに玉にできるの?」 オレが尋ねると、祈念さんは 「かに玉じゃなくて和魂ですぅ。 はい、一見天狼神様は凶悪に見えますが 今は犬飼君と大土佐寺君の技のおかげで 動きを止められ落ち着き始めていらっしゃいますぅ」
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