ヒーローなれないんかーい

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そう祈念さんは言って、開いた巻物をオレ達に見せた。 「みこちゃん、これ、昔の日本語だから 俺達読めねーよ」 巌雄がそう言い、オレもうなずいた。 しかしその時、殿様が祈念さんに近づいて 巻物に顔を寄せた。 そして、オレ達を見まわして、 「そなた達は本当に何者なのだ。 この字は我の書いた字だ。 だが、我はこのような書物を 書いた覚えがないっ」 殿様は少し青い顔をしてオレ達にきつく言った。 すると祈念さんがニコニコして 「それは殿様が、我が血闘道の開祖だからです。 そしてこの事態も天狼神様はお見通しになっていたこと。 天狼神様は、ご自身が荒魂になった時に 私達を未来から呼び寄せて殿様の助けとなるよう 仕組まれたのです,と書かれていますぅ」 「・・・未来」 「はい、そうです。殿様 私は血闘道で巫女をしておりますが 殿様と天狼神様の間に細い 光の線がつながっているのが見えますぅ」 「そうなのか、巫女殿。天狼神様は 正気を保っていらっしゃるのだな」 そう言って殿様は嬉しそうな顔をした。 「あのう、お取込み中悪いんですがね。 そろそろ天狼神様を和魂?に戻す事を しましょうや」 巌雄が厳しい顔をして天狼神様を見ている。 そうなのだ。 天狼神様、まだ実際は荒魂の状態。 オレと巌雄の技で抑え込んでいるのを なんとか壊そうともがいている。
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