鉄拳不要

2/4
前へ
/33ページ
次へ
「今は戦乱の世。 人々が武器をとり戦い合うのは仕方がないこと。 だが、その戦で流される血が穢れとなり 我を狂わせてしまった」 そっかー。戦国時代だもんね。 殿様の口を借りた天狼神様が続ける。 「そこで我は、この者に技を授け少しでも 戦で流れる血が穢れが減ることを授けたいと考えた。 それが血闘道だ。 珍妙な技であるが、珍妙であるがゆえ人々が警戒し 鉄拳よりも戦よりも和議で、この地の者達と 交渉せんとする機会を増やしたいと思ったのだ」 「それはいいですね。それに超誇丸は薬としての効用も ありますから、重宝されて攻められる機会が減ると思います」 祈念さんがにこにこして話す。 すると、殿様というか天狼神様もにこりと笑って、 「その通りだ。そこで目をつけたのがはるか未来の チョコレートという菓子だ。 二月十四日に女子が好いた男にその旨告げる日に 渡す菓子だ。 思いが通じればこれほど和魂としては嬉しいかぎりだが、 思いを遂げられずに無駄になってしまった物や 売れ残ったり、貰えない男共の無念さが 漂っている日でもある」 あ〜オレ、男だけど祈念さんにチョコレート渡そうとして 振られたんだわ、そう言えば。 天狼神様が言葉を続ける。 「我はその無念さを浄化すべく、未来よりその チョコレートを取り寄せ、超誇丸として食す事で 力を発揮する血闘道をそなた達に命じる。 その内容は既にこの神官が頭に叩き込んである。 後は、よく修練し鍛錬を怠らず、世の為人の為尽くすように。 そう願っているぞ」
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加