エピローグ

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エピローグ

ヒュうっ 冷たい冬の風が吹き抜けてゆく。 オレは目を開けて辺りを見渡す。 まず目についたのは、いつも通っている道場と 超誇丸がくくりつけられた蔓を保存するプレハブ倉庫だ。 そして俺は後ろを向いた。 すると、巌雄と祈念さんが立ち上がろうとしていた。 二人の後ろにはお社としめ縄をした洞があった。 「俺達帰ってきたんだな」 巌雄がぽつりと言う。 「ああ、良かった。無事に帰れて」 祈念さんがにこにこ言う。 その時、またもや冷たい風が吹き抜ける。 「ねぇねぇ、二人とも。早く道場の中へ入ろうよ。 オレ、寒い」 「おう、そうだな。じゃぁ俺は先に走ってゆくぜ」 「じゃぁオレも」 と言ったところで祈念さんがオレの服を引っ張った。 ?とオレがどうしたのという表情をすると、 祈念さんは、 「あのね。昨日はバレンタインで犬飼君がチョコを 渡そうとしたでしょ。 だけど、バレンタインは女の子から渡す日だから。 だから・・・来年ね!」 そう言って祈念さんは顔を真っ赤にして 走って道場に行ってしまった。 残されたオレは、喜んでいいのか後一年待てるのか その間どういう風に祈念さんと接するのか ぐるぐると頭が巡るのだった。 了
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