日常は尊い

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「ふふ、今朝も仲がいいのね。 おはよう犬飼君、大土佐寺君」 「何が仲がいいんだよ・・・あ」 オレは言い返した相手を見て言葉に詰まった。 そう、そこには祈念 みこ(きねん みこ)が くすくす笑いながら立っていた。 うちの制服であるセーラー服を着て眼鏡をかけた、 素直で優しい性格を表すような まっすぐな黒髪を腰まで伸ばした彼女。 (そして昨日オレを振った相手) 「おう、おはようさん」 巌雄が彼女に挨拶をする。 「・・・おはよう」 おれも小さな声で挨拶をしてあさっての方向を向いた。 祈念みこは、そんなオレの態度を気にせずに 「犬飼君、大土佐寺君、今日うちの道場にこれるかな?」 「道場?いいぜ。特にすることもないしな。 なにしろ祈念のじいちゃんじゃない道場主は ツエェからな。 もう七十歳超えてるはずだろう。 それなのに手合わせして勝てた試しがないからな。 今度こそは勝つ! おい、優人。犬飼優人君も行くよなというか行こうぜ。」 「いや、オレは今日用事が・・・」 昨日、振られた相手と同じ屋根の下にいるのは気まずい。 だからなんとか断ろうとしたのだが、 「なぁに言ってんだよ。お前に用事なんかないだろ。 よし!放課後に祈念ちにいくのは決定だっ」 「お前はどこのジャイ〇ンだぁ」 こうしてオレはきまずい思いを抱えながら放課後までの 時間を過ごしたのだった。
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