68人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
テルは狩人だ。
食料調達に関して不安はなかった。
ヴェルンドが蛇や蠍を食べられるのかは分からないが。
なるべく彼は山鳥や兎を狩り、
樹上になっている果物や木の実を弓で器用に射落とした。
夜はヴェルンドが月の女神の導きを確認し、翌日の進路を決めた。
だが、運命の夜――。
満天の星空を従えた月は赤く泣いていたのだ。
「何かがおかしいわ。こんな月ははじめて見る」
「俺もだ。夜の獣たちもざわめいている。みんな何かを感じているんだ」
最初のコメントを投稿しよう!