05.赤い月

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テルは狩人だ。 食料調達に関して不安はなかった。 ヴェルンドが蛇や蠍を食べられるのかは分からないが。 なるべく彼は山鳥や兎を狩り、 樹上になっている果物や木の実を弓で器用に射落とした。 夜はヴェルンドが月の女神の導きを確認し、翌日の進路を決めた。 だが、運命の夜――。 満天の星空を従えた月は赤く泣いていたのだ。 「何かがおかしいわ。こんな月ははじめて見る」 「俺もだ。夜の獣たちもざわめいている。みんな何かを感じているんだ」
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