四月八日のヴィーナス

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   今にも消えそうな命を揺らしながら、僕に身を委ねる彼女。彼女は、昔狂うほど焦がれた女性の形にそっくりになっていた。  そう、僕が塗り替えたのだった。僕が三年かけて、じっくり変えた。体つきや、表情、髪なども。そして今日、やっと彼女共に願っていた姿になる。  欠陥させることによって、彼女は魅力的な姿になった。小学校の頃、教科書で目にした女性。僕の初恋。高校生の時、やっと出会えた。  高校二年の時から何度も足を運んだパリ。僕を狂わせた裸体に、飽くことはなかった。  女性に触れることは許されない。いつも、ただ大衆と同等にいることしかできない。焦燥感。
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