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「ねえ、涼子ちゃんはそういうことないの? 告白されるとか」
「……別にないけど」
「そっかあ。いいなあ。私はこんなことばっかりだから、断るのが大変だよお」
「……」
「ねえ、聞いてる?」
「聞いてるよ」
私が話にあまり乗ってこないのが気に入らなかったらしく、彼女の声は冷たいトーンに変わった。
「涼子ちゃんってさあ、ノリ悪いよねえ。せっかく私が、いつもランチ誘ってあげてるのに」
彼女は時々、私に対して毒を吐く。
「そんな感じだから、課長から好かれないんじゃないのお? それに、要領悪い人って仕事出来ないよね」
彼女が私に対してキツく当たるのは、二人きりでいる時。周りに声が届くところでは、仲良しのフリをしている。
「小宮山さんって、誰にでも優しいよね」
周りからそんなふうに言われたくて、好きでもない私とランチを取っていることは気づいていた。
「…………」
返す言葉が見つからない。
彼女の言う通り、私が課長から好かれていないのも、要領が悪くて仕事が上手くできないのも、本当だったから。
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