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「結果が全て」
ついに迎えた、企画のプレゼンテーションの日。
今回は、私や理沙にとって特別だ。採用されれば新しい大きな仕事を任せてもらえるかもしれない、大事なプレゼンテーションなのだ。
でも、理沙にとっては、それだけじゃなかった。
急遽、今回のプレゼンテーションに、人事課の代表で鞘川さんが出席することになったのだ。「企画課がどんなことをやっているかを見たい」という人事課からの希望だった。
彼女は当日、髪型やメイクにかなり気合いを入れて来ていた。
「はじめまして……かな? 人事課の鞘川です」
会議室に入ってきた彼は、爽やかな笑顔で、私と理沙に挨拶をしてくれた。
「はじめまして~! 企画課の小宮山ですぅ。憧れの鞘川さんの前でプレゼンできるなんて、夢のようですっ」
「あはは、憧れてくれてるの? ありがとう。でも、全然そんな大層な人間じゃないよ」
理沙はいつもの二倍の高い声で、彼と話している。彼女の隣りで、私は完全に緊張していた。
本当に芸能人みたいで、異世界の人みたい……。
「で、君の名前は?」
彼の視線が私に向けられ、どぎまぎしながら口を開く。
「あっ……。同じく、企画課の多田です……。よろしくお願いします……」
「多田さんね。よろしく。ふたりはいつも、食堂で一緒にいるよね」
「えーっ、ご存じだったんですか! そうなんです、女性の同期は私たちだけなので、仲良くやってますぅ」
私たちのどこが仲良しなんだろうか。
そう思いながらも、私もただ笑って頷いた。
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