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やがて全員が揃い、プレゼンテーションが始まる。
「私からプレゼンをさせていただいても宜しいでしょうか?」
真っ先に手を挙げた彼女のプレゼンテーションは、思わず耳を疑う内容だった。
だって、私が考えた企画と、全く同じ内容だったから…………。
「うん。素晴らしい企画だね! いつもの小宮山さんのプレゼンの感じと違うけど、どういうところを工夫したのかな?」
「はい! それはですね……」
彼女は自分で考えてきたように、スラスラと笑顔で答えている。
でも、わかっていた。「これは私の企画だ」と。
こんなに端から端まで、内容がかぶるはずがない。それに、いつもこっそりサボってばかりいた彼女が、ここまでのものを作れるはずがない。
知らないうちに、私の企画書を盗み見られたんだ。
やられた…………。
「じゃあ次、多田さん」
「…………すみません。小宮山さんと同じような内容なのですが……」
そう言って私もプレゼンテーションを行ったものの、周囲の反応は微妙だった。
「何だ、これ。二人とも、全く同じ内容じゃないか?」
すると理沙が立ち上がり、信じられない言葉を放った。
「課長。申し上げにくいのですが……、多田さんが私の企画書を盗み見たみたいで……」
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