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「…………いえ、もういいです」
「それはどういうことかな? 君が小宮山さんの企画を盗み見たってこと?」
「それは決してありませんが……」
「じゃあ、私がやったって言いたいの? 酷いよ、涼子ちゃん」
理沙がわあっと泣き伏せる。
こんなふうに泣かれたら、もうどうしようもない。
結局、企画は彼女のものが通る形となった。
私は課長に呼び出され、厳重注意を受けた。
課長は理沙を信じきっていて、私に対して「こんなに素晴らしい企画を君が作れるわけがない」というスタンスだった。
その場にいた誰もが、仕事が出来る理沙のほうを信じて疑わなかった。
とても悲しかったし、悔しかった。
でも、私と理沙だったら理沙を選ぶ。理沙のほうを必要とする。
これが現実なんだ…………。
私はいつも失敗ばかりで、迷惑をかけてばかりで、何一つとして良い結果を出せていない。理沙はこっそり手抜きをするけれど、たまに私に仕事を押しつけるけれど、それでも仕事で要領良く結果を出している。
「結果が全て」。
課長の言葉が、深く胸に刺さる。
誰もいない給湯室で、私はそっと涙を拭った。
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