決戦は水曜日

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「七瀬といるとドキドキして嬉しくて胸が苦しくて足をバタバタして、叫びたくなる。だんだん七瀬の事しか考えられなくなってきて、オレそんなの初めてでなんだか怖くなった。 オレは蕎麦職人になって七瀬には毎日オレの作った蕎麦を食べてずっと隣で笑っていて欲しい。 オレはその為に、一人前の蕎麦職人にならないと七瀬の旦那さんになれないのに それなのにドキドキして七瀬を好きすぎて修行に身が入らないんじゃずっとそばにいられないだろ?」 「・・・・・・・・」 「だからこのままで今はいたいって思った。 七瀬の気持ちを考えずオレは自分勝手で・・・・ 七瀬はオレが一人前になるまで今まで通りそばにいると思ってた。そうしたら三浦に、七瀬が久住さんに口説かれてる事聞いたんだ。三浦に他の男に取られちゃうよ?って怒られた」 「望がそんな事・・・・・・・」 「オレ、それ聞いて冷静じゃいられなくなってその日一晩中、町を走った。七瀬が他の男と付き合うなんて思いつかなかったんだ今まで。七瀬は可愛くてみんなに愛されてるんだから当たり前の事なのに、そんなことにも気がつかなかった自分に腹を立ててオレはひたすら走った」 「・・・・・・・」 「ひたすら夜明けまで走って足が動かなくなって道の段差に躓いて派手に転んだんだ。オレは道に寝転んで足は痛いし呼吸も苦しくて頭も朦朧とした中で」 「七瀬の笑顔が思い浮かんだんだ」 「山田君・・・・」 「明日行かないで?」 「?!」 「他の男とデートしないでよ・・・」 「山田君?!」 「七瀬! オレが一人前になったらオレのお嫁さんになってください!オレ、早くおやじさんに認めてもらえるように頑張るから!大学もちゃんと卒業して、蕎麦の修行も真剣にやるからさ!だからだから─────オレが一人前になるまで結婚を前提に付き合ってください!!!!」 「?!!えっ、そ、それって・・・!!!!」 そう大声で言った山田君は、 ポッケから小さな箱を取り出し 私の前でカパッと開けた そこには 午前中、望と行ったジュエリーショップで試しに指にはめてみたピンクゴールドのプリンセスのティアラのようなデザインの指輪だった 「こ、これ!!さ、さっき?!」 「三浦に協力してもらった」 「な、なんで?!だ、だってこれ、す、すごく、高いよ?!」 「だって、ブロポーズだし、婚約指輪だし」 「だ、大学生が買える金額じゃっ!」 「アルバイト代ほとんど使ってないからな。 それに、昔からお父さんに、お金はここぞという時に使えって言われてたんだ!今がここぞという時だ!!」 「や、山田くん!!だって・・・だってわたし・・・」 「?!なななな、七瀬っ、な、泣くなよぉ・・・・」 「・・・・山田君の彼女になってもいいの?」 「もちろん!」 「・・・・山田君のお嫁さんにしてくれるの?」 「うん!」 「・・・・・ずっとそばにいていいの?」 「うん。七瀬オレの彼女とお嫁さんになって?」 「うん・・・・・よろしくお願いします!」 「や、や、やった!み、三浦ー!坂野ー!オレやったよー!!」 「え?」 山田君は店の奥に走って行くと 望と坂野くんが 「おめでとう!」と言って 花束を抱えて現れた
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