それから

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「七瀬・・・・・疲れてないか?」 「ううん?大丈夫」 「そっか・・・・それなら良かった」 「うん・・・」 山田君のご実家で夕食をいただいて20時頃ご実家を後にした 山田君の家は私の家まで30分かかるから もう遅いからと山田君がお父さんの車で送ってくれた 山田君とは毎日のように2人で一緒に仕入れに行くから 車内で2人きりになるのは珍しいことじゃないのに 今日は2人とも何を話せばいいのかわからず 車内は一言、二言話したらすぐ沈黙になってしまう 仕入れの時の車内の中では山田君がずっと喋っている その時の楽しそうな横顔は、少年のよう 今日は口数が少ない前を見ながら何か会話を探すように唇がたまに動いてはキュッと閉じる そんないつもと違う無口な横顔は、私にあまり見せたことがない男の人の顔 「七瀬・・」 「ん?」 「・・・あの、あのさ・・・・・」 「うん・・・」 「その・・・・」 「?」 「その・・・・・手、繋いでもいい?」 「あっ、うん・・・・」 私たちは初めて車内で指を絡ませ手を繋いだ 初めて恋人になってから、恋人らしいことをした 山田君の手は手汗が凄くて 「あっ、オレ、手汗凄くてごめんっ・・・・」 と言って慌てて離そうとしたから 私は離れてしまわないようにギュッと握りしめた 「恋人なんだね・・・・私たち」 「・・・・七瀬・・・・」 「・・・実感湧いてきて・・・・凄くドキドキする」 「・・・なあ、七瀬・・・何時までに帰れば大丈夫?」 「・・・まだ大丈夫」 「・・・・少し寄り道していい?」 「うん・・・・」 山田君は私の家と違う方向に車を走らせた
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