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山田君は、今日もステキ
「吉正!こんなんじゃ、まだまだだぞ!」
「はい!4代目!」
今日も朝から威勢のいい2人の声が聞こえる
「ふふふ、また、2人ともやってるわね。なんだかんだ言いながらお父さんも最近イキイキしてる」
「うん。お父さん、楽しそうだね」
お父さんにしごかれてる山田君の
2人の声を聞きながら私はお母さんと朝食の準備をする
あれから、山田君はお父さんのことを「4代目」と呼ぶようになった。
正確には「お父さん」と呼んだ山田君に
「まだお前のお父さんではない!!!」
と、お父さんが4代目と呼ばせたのだった。
「お父さん、山田君、ご飯だよー」
「七瀬!おはよぉー!わっ、うまそー!」
「吉正!ご飯はそこを片付けてからだ!」
山田君は相変わらず大学に行きながら蕎麦修行に励んでいる
遊ぶ時間や自由な時間なんて無さそうなのに愚痴ひとついわずいつも明るく元気で毎日楽しそう
「山田君、今日大学は?」
「はいお母さん、今日はこの後講義2時間出て昼には戻ってきます。だから今日は仕入れも行けます」
「あ、じゃあ亜里沙、山田君と一緒にお肉屋さんにも今日行って?鶏ももと、鴨肉頼んでおくから。」
「お母さん!任せてください!」
「吉正!由美子は亜里沙のお母さんであってお前のお母さんじゃないぞ!」
「もう、お父さんたら・・・山田君?気にしないでいいのよ?山田君はもう息子みたいなものなんだから」
「由美子!こいつはまだ息子じゃない!」
「お父さん!僕、頑張って一人前になって早く息子になれるように頑張りますね?」
「だからお父さんて呼ぶな!まだお前には100年早い!!!」
こうして毎日賑やかな1日が始まる
────────────────
山田君は大学の授業がある時は6時から修行して、8時過ぎにうちで朝食をたべてから大学に行き12時前にはまた店に戻ってきてランチタイムの忙しい時間手伝ってくれる。
午後も講義がある時は14時に店を出て、
また大学に戻って夕方まで講義を受ける
午後講義がない時は
私と仕入れに行き 最近は毎日一緒には行けず私1人での仕入れも多いから、重い食材は山田君が行ける時に頼まれる
─────────────────────
「んっ・・・よしまさくん・・・好き・・・・」
「ん・・・ありさっ、オレも・・・」
一緒に仕入れに行って
全部買い終わったら
お店に戻る前に誰もいない山道の秘密の場所に車を停めて
10分だけ2人だけの秘密の時間を過ごす
ひたすら2人でキスをしてハグをして
お互いこの時間だけは下の名前で呼びあって
唯一恋人らしくいられる甘い時間
お互い実家だから泊まりに行ったり部屋に入ったりは
親の目を考えるとできなかった
親公認だからこそ変なこともできないし
実家で働いてるからこそ私の行動はバレバレだから
山田君の部屋に行くくらいは付き合ってるからべつにいいのかもしれないけど・・・・・
やっぱり怪しまれたりなんだかいろいろしてバレてたら恥ずかしいし
そんなこんなで私たちは付き合って、婚約までしてるけど
なかなか2人きりで恋人らしい甘い時間を過ごせなかった
だから2人で仕入れの時は大急ぎで仕入れを済ませて
人が来ない場所に車を停め、秘密の逢瀬を重ねた
ピピピピピピ
10分が経過したアラームがなり
甘い雰囲気が壊される
「・・・・10分早いな。。。」
「うん・・・・」
「もうちょい・・・」
「や、山田君っ、遅かったらお父さんにバレちゃうよ?」
「・・・・もう名前、戻ってる」
「あ、」
「・・・よーーーし!!頑張って早く一人前になって亜里沙をお嫁さんにもらって、一緒に暮らしてたくさんイチャイチャ出来るように頑張る!!」
そう言って車のエンジンをかける山田君の横顔は少年のようでいて、頼れる男の人の顔
そんな私の前でだけ2つの顔を持つ山田君の横顔を見てから
「うん、待ってるね?未来の私の旦那さま」
そう言って私は
指輪が光る左手の薬指を優しく撫でた
END
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