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私がお礼を言うと、せばすちゃんが今まで見たことの無い笑顔で笑った。
「そんな、すべて王女様の頑張りの賜物でございます。」
え!なに、この笑顔!キュンなんですけど!
「明日はいよいよ舞踏会当日でございます。最後にダンスのレッスンを致しましょう。」
そう言ってせばすちゃんはレコードの針を落とす。
私とせばすちゃんは手を取りダンスのステップを踏みはじめる。
最初の頃は何度もせばすちゃんの足を踏んでしまったけど、もう大丈夫。
不意にせばすちゃんが優しく微笑む。
「とてもお上手になられましたね。」
はい!キュン!その笑顔、キュン!
どうしたの?今日のせばすちゃん。鞭忘れて来ちゃったの?
この一ヶ月、私とせばすちゃんはずっと一緒にトレーニングに励んだ。
辛い時も、うまくできた時も、必ずすぐ横にせばすちゃんがいてくれた。
そんな日々を思い出しながらせばすちゃんの顔を見つめてみる。
「王女様は今日までよく頑張られました。」
そうね、私もそう思うわ。今までに無いくらい、頑張った。
「その、明日はネモ王子と上手くいけば良いですね。」
せばすちゃんはそう言って目を伏せる。
もー!えーー?
色気!色気がよぉ!(語彙力崩壊)
やばいよ☆せばすちゃん
私が心の中で悶絶していると、せばすちゃんが私の足を踏んだ。
キャッ!ビックリした。せばすちゃんが珍しいわね。
「申し訳ございません、明日のことを考えたらつい・・・。さぁ、続けましょう。」
そう言ってせばすちゃんはダンスの構えをとったけど、私はその手を取る気にならなかった。
「どうされましたか?」
・・・明日、行くのやめる。
「もしかして、不安になられたのですか?大丈夫です、この世界にメル王女様以上に美しく、たくましく、そしてダンスの上手い王女はおりません。」
そんな事、分かっているわ。今なら私、生搾りリンゴジュース素手で作れるもの。
「では、何故?あんなに楽しみにされていたではありませんか。」
今の私はチカネモ王国のご馳走も、イケメン王子も、玉の輿も・・・そのどれにも興味がわかないのよ。
「なぜ・・・?」
せばすちゃん、あなたの事で胸がいっぱい。
私の王子様はせばすちゃん、あなただったんだわ。
おねがい、私と結婚して!
「王女!」
私とせばすちゃんはその場で力いっぱいハグをした。
お互い肋骨がボキボキなる程強く。
いつの間にか、お父様もお母様も、そして国民のみんなも私たちを囲み拍手喝采を送ってくれた。
みんな私たちの幸せを祝ってくれている♪
玉の輿のるよりもこっちの方がきっと幸せ!
私たち、結婚します☆
よろしく☆せばすちゃん
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