7人が本棚に入れています
本棚に追加
1年ぶりに授業に出たけど、ひどく疲れた。
休学する前の、ギリギリの精神状態を思い出して吐き気を催すこと数回、しかも雨の日は…光貴を失った日をどうしても思い起こさせる。
休学明けの初日が雨だなんて…呪われているとしか思えない。
私は誰も知る人のいない教室を出て、廊下をひとり歩く。
すれ違う人が皆、私を見ているような気がする。
『恋人が死んで一年も経つのに、あの人はまだ死んでいないんだよ。
自分だけ生き長らえてる、卑怯な女だよ』
そんなささやき声が聞こえてくるような気がして、私は無意識に両手で耳を塞いで走り出した。
建物の外に出て、ほっと息をつく。
だめだ、こういうふうに考えちゃ。
また学校にも外にすら出られなくなってしまう。
心療内科の先生に危ぶまれていた通りのことになってしまう。
頬を打つ雨に、そこでようやく気づいて、私は持っていた傘を広げた。
カンヴァスが濡れちゃう…
トートバッグを体に引き寄せて、なるべく傘の中へ入れた。
どうしようかな…
サークルに顔を出そうと思っていたのだけど、この精神状態では皆に心配かけちゃうだけのような気もするし。
家に帰るのも然り。
お母さんが心配するだろうな…
私はため息を一つついて、雨の中あてもなくあるき始めた。
最初のコメントを投稿しよう!