1.雨の日の出会い

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 1年ぶりに授業に出たけど、ひどく疲れた。  休学する前の、ギリギリの精神状態を思い出して吐き気を催すこと数回、しかも雨の日は…光貴(みつたか)を失った日をどうしても思い起こさせる。  休学明けの初日が雨だなんて…呪われているとしか思えない。  私は誰も知る人のいない教室を出て、廊下をひとり歩く。  すれ違う人が皆、私を見ているような気がする。  『恋人が死んで一年も経つのに、あの人はまだ死んでいないんだよ。  自分だけ生き長らえてる、卑怯な女だよ』  そんなささやき声が聞こえてくるような気がして、私は無意識に両手で耳を塞いで走り出した。  建物の外に出て、ほっと息をつく。  だめだ、こういうふうに考えちゃ。  また学校にも外にすら出られなくなってしまう。  心療内科の先生に危ぶまれていた通りのことになってしまう。  頬を打つ雨に、そこでようやく気づいて、私は持っていた傘を広げた。  カンヴァスが濡れちゃう…  トートバッグを体に引き寄せて、なるべく傘の中へ入れた。    どうしようかな…  サークルに顔を出そうと思っていたのだけど、この精神状態では皆に心配かけちゃうだけのような気もするし。  家に帰るのも然り。  お母さんが心配するだろうな…  私はため息を一つついて、雨の中あてもなくあるき始めた。
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