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大学から駅までの道すがら、私はふと横に細い路地を見つけた。
こんなところ、曲がれたんだ…
全然知らなかった。
まっすぐに帰る気にはなれないし、何か発見があるかもしれない。
久しぶりに外へ出て、少しは気持ちが変わっていたのだろうか。
その時、私は無性にその路地へ行ってみたくなったのだ。
後から考えてもとても不思議だった。
私はその小道へと足を踏み入れた。
道の両側は住宅が多いようだ。
ところどころに小さなお店があったりする。
小路の突き当り、少し大きな通りと交わるところの真正面に、その喫茶店は降りしきる雨の中、静かに佇んでいた。
「え…こんなとこに…」
私は我知らず言葉を発していた。
昭和っぽいテイスト…とでも言うのだろうか。
私世代から見れば昭和なんて全然遠い、半分歴史上の時代だけど、それでも幼いころからマスコミや親から植え付けられてきた『昭和レトロ』というべきイメージにぴったりの喫茶店だった。
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