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【 小振りなマスクメロン 】
「『小振りなマスクメロンのような豊満な胸』って、そ、そんな大きいのか小さいのか分かんない表現しなくっても良くない?」
「そ、それもそうだな……」
「私はちゃんとEカップありますから……」
そう言って私が両手で制服の上から胸を掴み、プルプルと左右に揺らすと、孝太の死んだ目が一瞬大きくなり、ニヤリとした。
「孝太、今、私の胸、やらしい目で見たでしょ!」
「み、見てねぇ~よ。お前のその無意味にデカいマスクメロンなんて……」
「マスクメロンじゃない!」
「じゃあ、何だ?」
「おっぱ……、バカ! 言わすんじゃないの! それに何なのよ。この『桃太郎に出てくる形の良い桃のようなお尻』って、これを書いたやつの学を疑うわ」
「だから、でっかい尻って言うことなんだろ」
「でっかくないわ! キリリと引き締まってるわ!」
私のツッコミに、孝太はまた呆れて、チョコレートパフェを口にした。
「つまり、この手紙は何なのよ」
「ああ? まだ分かんないの?」
「分かんない」
「だから、アレだって」
「だから、アレって何なのよ」
「アレさ」
「アレ?」
孝太は、チョコレートの少し付いた銀色の長いスプーンを指揮者の棒のようにして言う。
「ラ」
「ラ?」
「ブ」
「ブ?」
「レ」
「レ?」
「もう、いい加減分かるだろ……」
「タ~……?」
「ああ、そう……」
「……」
「お前、顔、赤いぞ」
私は、生まれて17年間一度ももらったことがない、『ラブレター』なるものを手にしている。
その手は、怯える小さなチワワちゃんほどに震えていた……。
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