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【 探偵同盟 】
しかし、そのラブレターの最後まで読んでも、誰からのものか名前が書いていなかった。
「こ、このラブレター、誰からだろう……?」
「知らねぇよ」
「でも、このラブレター、何かのノートの切れ端みたいに、左側がギザギザに破られているみたい……」
「急いで書いて、綺麗に破れなかったんじゃねぇのか」
「ねぇ、孝太。これって誰からだと思う?」
「知るか」
「もっと、興味を持って。私の一大事なのよ」
「一大事?」
「そう、一大事。幼馴染の一大事は、放っておけないでしょ?」
「ま、まあな……」
「じゃあ、誰か推理して。このラブレターを出した人を探し出して」
「探し出す?」
私は、眉間にしわを寄せながら、孝太のマヌケ面を見つめる。
すると、観念したのか、孝太は協力すると言ってくれた。
「で、そのラブレターのあった場所は?」
「学校の教室の私の机の中」
「は? 何でそんなところにあんだ?」
「そんなの知らないわよ」
「で、それを見つけたのは、何時ごろ?」
「私が部活から帰る時だから、夕方の6時半ごろ」
「そこに、誰かいた?」
「誰もいなかった」
「ということは、ホームルームの時間から部活が終わるまでに、お前の机の中にそれが入れられたということになるな」
「そうね。5時から6時半までの間の1時間半の間ね」
「お前の机の中にそれを入れた犯人は、お前がそれを見つけたかどうか必ず確認したいはずだ」
「なるほど。犯行を犯した犯人が、また現場に戻ってくるっていう、あれね」
「ちょっと違う気はするが、まあ、そんなものだろう……。俺だったら、明日の朝早く教室へ行ってお前の机の中を確認するだろうな」
「そうか、ちゃんと見つけたか、犯人は確認したいもんね」
「ああ。明日、俺が朝早く行ってそいつを待ち伏せてみようか?」
「お願い。そうして、孝太」
私は彼の手を両手で握り、探偵同盟を組む。
「お前、楽しそうだな……」
孝太は苦笑いしながら、なぜか目が泳いでいる……。
「孝太! 絶対に探し出してよ! このラブレターの犯人を!」
「犯人じゃねぇけどな……」
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