7 鈴木博

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『俺だ、頼み事があるんだけど---』 『よう! 猟! お前、あの美人の嫁さん捨てて、若い娘と逃走中なんだってな、所内で噂になってるぞ!』 ……ダイジョブなのかウチの組織……情報駄々洩れじゃねえかよ…… 『で? その逃走犯が組織側のこの俺に何の頼み事だ? 俺がお前の敵の可能性はどう評価したんだ?』 なんだよ、その安物スパイ映画みたいな設定は…… 『防犯カメラの映像解析を頼みたいんだ』 『なに? 乗って来いよ! もう、つれないんだからぁ~!』 『所長たちは俺が何処にいるか知ってるか?』 『知らん。興味も無い。正直、そのうち若い娘に飽きて戻ってくんだろ? くらいの共通認識だよ』 『そうか……まあ、そんなとこだな。 ところで、あんただったら、俺をどう捕まえる?』 『そうだな…… 道端に籠と棒で作った罠を仕掛けて、そこに全裸の美女を置いておく!』 聞いた俺が…… 『冗談だよ、俺なら、お前の美人奥様を人質に捕まえるかな。この国で監視網にかからない人間を探し出すことは不可能だ。なら、分かりやすい方を捕まえる』 セイラちゃん…… 俺の唯一の家族…… 俺の唯一の愛する人。 俺の唯一の弱点…… 『俺を嗅ぎまわってる奴は?』 『いっぱいいて分からん! …… でも、そうだな…… お前の望む答えなら、俺は持っている……………… 来たよ、お前の言っていた通り…… お前の中国のお友達…… 深圳特別軍区の…… あいつが……』
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