7 鈴木博

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「そうですね…… 可愛いお子さんと健気に旦那を支える妻…… その役割からの解放…… とでも言えばしっくりくるかと……」 「はあ? あんたら、まともじゃないのね! 警察呼ぶわよ!」 「それでは、2分! きっかり、2分経ったら退散いたします。それまでのご信望を……」 横を向いて腕を組み、俺の話を待っている。 ふん! なんだかんだ言っても、気になるんだろう? 気位ばっかりがお高いんだな…… 「ありがとうございます。 まず、自己紹介が遅れました、我々は予言屋でございます。 本日は、この仙台で最もこれからドラマティックな人生を送るあなた様を見つけ出して、失礼ながらお声掛をいたしました。 時間も無いので、それでは、早速本題に参りましょう! あなたは、あなた達は、今後半年以内に全てを無くします。 それは何故なら、あなたが、あなた達が大切にしていた秘密が秘密でなくなるからです。 そう、それです! 今、思い浮かべた、それですよぅ! どうしてでしょう? 何故だと思いますか? 簡単です。 正義は必ず勝つからです。 奴隷まがいに他人から搾取する行為は、やはり正されなければならないからです。 それを知っていて、正さないのは、やはり、そいつと同罪だからです。 さあ、誰の事でしょう……あなたの事です」 「ああ、もういい! 不愉快!」 「最後まで……」 奥さんは、ベビーカーを押して、振り返ることなく小さな公園から外の細い道路へと消えて、あっという間に見えなくなった。
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