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おかしな人
あの人は私の思惑通りに言葉を発した。
いや、思惑通りとは少し違うか。
その言葉は私を馬鹿にしていると捉えられる言葉だが、私は盛大に笑った。
つまらない返しではなく、その言葉を人に向けるのはどうかと思ったから笑った。
相手を悪人のように仕立て上げることに楽しさを感じる。
人を下げる行為はクズだといわれたことがあるが、かまわない。
自分の心を保つためにそう考えるようになった。
心の隅から隅まで善良な人間なんてはたしているのか?
おそらくいないだろう。
誰しもが底が見えない濁ったところがあるだろう。
それを考えるとこの世は泥沼だらけな気がしてきた。
私の目の前を通った白い服の人だって、お金をもらわなければ働かないだろう。
本人に直接、お金をもらわなければこの仕事やらないですよね、と尋ねたことがある。
それらしい回答はえられず、はぐらかされてしまった。
人の命を救うのにお金が発生することも何か違和感を感じる。
私は人間をやめて動物になりたいと訴えると、ベッドしかない部屋へと閉じ込められた。
おかしな人の基準はいつ誰がつくったのだろう。
たくさんの人の声が集まってそう構築されたのだろうか。
なら私は自然に帰ろう。
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