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妊娠したことを晴輝に伝えようかどうしようか迷ったまま、私はいつものように晴輝の病院に行って面会した。
晴輝は私の将来のことを気にしているようだった。
この日も晴輝は、
「志乃、あまり無理して僕に会いに来なくてもいいよ!
志乃は遠慮しなくていいから、僕と別れて別の男の人と付き合った方がいいよ!」
と言ってくれた。
でも、私は晴輝のことがとても好きで、心から愛していた。
晴輝が私に言った言葉は、私に対する愛情だということはよく理解できたけれど、その反面なんとなく寂しい感情に襲われた。
この時の私は、正直に全てを打ち明けようと決心した。
「晴輝、驚かないで聞いてね!
私、晴輝の赤ちゃんを妊娠したみたい…」
私が落ち着いた口調で話すと晴輝はとても驚いたようで、
「ほんと?」
と言ったので、私は首を大きく縦に振って頷いた。
少し沈黙の時間があって、晴輝は少し考えてから、
「志乃、酷なことを言うようだけれど、赤ちゃんをおろすことできないかな?
僕はもう先がないから…」
と真剣な表情で話してくれた。
この言葉を聞いた私は、晴輝の言いたいことが理解できないわけではなく、少し迷いが生じたことは事実だ。
でも、それは違うと思い直して、
「いやだ!
私、晴輝の赤ちゃんを産むよ!」
と少し強い口調で晴輝に訴えた。
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