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売店に行くと、アスレチックワールドのロゴが入ったお菓子やタオル、キーホルダーが売っていた。
柚にはアスレチックワールドのマスコットがついたキーホルダー、樹には……
「あ」
咲弥くんが棚の前で目を留めた。
視線の先には、侍戦士リュウノスケの剣のおもちゃが。
「侍戦士のだね。こういうところにも売ってるんだ」
「おもちゃ屋で売ってるのとはまた違うけど、これはこれでよくできてるな」
咲弥くんが剣を手に取って、軽く振った。
おもちゃ屋さんで売ってるような本格的なおもちゃは、音が鳴ったり光ったり、リュウノスケの声が出たりする。
もちろん高いからうちじゃ買えないけど、これはリュウノスケの剣を模っただけだからお小遣いで買える範囲だ。
「弟のお土産、これにする」
「え、これでいいのか?」
「うちの弟、侍戦士の剣欲しがってたから絶対喜ぶと思う。本物のリュウノスケくんが持ってくれたから、プレミア付きだしね」
「うわあ、マジか。嬉しい」
剣とキーホルダーを買って、私たちは売店を出た。
「今日はすっごい楽しかった。また遊び行こうな」
「う、うん。私も、楽しかった」
こんな風に遊んだのって久しぶり……ううん、初めてかもしれない。
一緒に遊んでお弁当食べて買い物して……そんなのみんなにとっては普通かもしれないけど、私にとってはすごく特別なこと。
しかも、咲弥くんと一緒だったから。
バスに乗ると、もう他の子たちはほとんど戻っていた。
咲弥くんと2人で戻って来た私に、心なしか注目が集まる。女の子たちは何か目配せしてるみたいだった。
これもしかして、私たちが付き合ってることバレちゃった!?
マズいよね。だって咲弥くん芸能人なんだもん。スキャンダルになっちゃったら……
「だいじょーぶっ!」
座席からひょいと顔を出したのは、隅谷くんだった。
「この学校で起きたことは外に漏らさないのがルール。結來ちゃんと咲弥のことは、誰もネットに書き込んだりしないって」
「ネットはともかく、そういうお前が1番心配なんだよ。俺らのこと、もう言い触らしてんじゃないだろうな?」
「まさか。俺が言い触らさなくったって、とっくにみんなのウワサになってるぜ」
ええええっ、そ、そうなの!?
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