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待ち合わせしてた神社の前に行くと、もう咲弥くんと隅谷くんが来てた。
水色の浴衣に黄色の帯を締めた隅谷くんが手を振る。
「こっちこっち! 2人ともかわいいじゃん」
「慎太郎くん! その浴衣!」
花凛ちゃんが慎太郎くんの浴衣に釘付けになった。
「ちょっと派手だった? 男の着物って地味なの多いけど、目立つ方がいいじゃん?」
「青と黄色なんて、慎太郎くん尊い!」
青と黄色は咲慎のイメージカラー。隅谷くん、花凛ちゃんへのサービスだったのかな。でも、隅谷くんが「?」って顔してるから偶然だったみたい。
「結來も浴衣、すごいかわいい。似合ってる」
咲弥くんが微笑んでくれた。
「咲弥くん、紫が好きって花凛ちゃんに聞いて……」
「俺のために?」
コクンとうなずくと、咲弥くんが照れたように頭を掻いた。
「咲弥くんも浴衣、すごくカッコイイね」
咲弥くんの浴衣は、黒地に赤いラインが入ってすごくオシャレだった。
いつも大人っぽい咲弥くんだけど、今日は一段と大人に見える。
「ありがと。これ結構悩んだんだ。似合ってる?」
「うん! 侍戦士のときの袴姿も似合ってるけど、また雰囲気が違うね。この浴衣も番組で着たらいいのに」
「それはヤダ」
なぜか咲弥くんが唇を尖らせた。
「これは結來にカッコイイって言ってほしくて着たんだから。リュウノスケが着ちゃダメなんだって」
「ええ、そうなの? もったいないなぁ。みんなに見てもらいたいよ」
「結來が見てくれればいいの」
こんなにカッコイイ咲弥くんを私だけ独り占めなんて、贅沢すぎるよ。
でも私だけ特別って、ことだよね。
ゴホンゴホン、と隅谷くんが咳払いをした。
「えー、2人の世界はその辺にしといてもらっていいですかね?」
「ふ、2人の世界!?」
「わかってるよ。今日は4人で遊ぶんだもんな。鶴屋さん、誘ってくれてありがとう」
「そんなそんな! 私は咲慎が……いやいや、みんなで遊べたらいいなーと思って」
歩き出すと、花凛ちゃんが私の隣にやって来た。
「さっきの見た? 慎太郎くん、咲弥くんが結來ちゃんとばっかり話してるから嫉妬しちゃって。かわいくない?」
「あ、私がいると咲慎の邪魔になっちゃうかな」
「ううん! むしろありがとう! 新たな咲慎が供給されて感謝です!」
よくわからないけど、花凛ちゃんが喜んでくれてるならいっか。
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