第6話 カズヤの誕生日 【回想】

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第6話 カズヤの誕生日 【回想】

マサキがスキー旅行から帰った次の日、 マサキの携帯に電話がかかった。 「ん?カズヤ?えっ?どうしたの?  泣いてるの?何かあったの?」 「マサキ?大丈夫か?心配したよ。  ずっと電話したんだけど繋がらなくて。  やっと電話に出てくれたから嬉しくて。」 「そうだったの?俺はカズヤと会った次の日から  岩手の山奥のスキー場に一週間泊まりで  旅行に来てたんだ。あっ言わなかったね。」 とマサキはスキー旅行の事を伝えた。 カズヤがまた会いたいとの事で、 今度の土曜日2回目のデートをする事になった。 「なんか嬉しそうだな、  何か良い事あったか、マサキ」 「ん?特に何も。ほら、こうして  腐れ縁と飲みに来てるって事がか?」 金曜の夜崇と一緒に地元の居酒屋ヤキトリに 飲みに来ている。 「ここの鳥上手いんだよ。  おっちゃん、生それから、つくね2つー」 マサキは明日カズヤとデートの待ち合わせで 顔がニヤけていたが、そんな事は言えない もどかしさもあり、崇と飲みに来れた事、 この店の鳥が旨い事と口から出任せを言った。 「嬉しい事言うねー。マサキ今日俺の部屋で  これから飲み直さない?」 「あっ止めとく。俺酒に弱いし生頼んだし  もうこの生飲んだら帰るわ。  ってか、マユと明日デートで  早いんじゃねーのか?」 (明日俺が早いんだってば) 「じゃーな。また誘うよ」 とマサキは腐れ縁の崇の誘いを断り しばらくしてそれぞれ帰宅した。 「おはよう、マサキくん」 「おはようございます、カズヤさん」 マサキとカズヤの中間に位置する 大きな駅で待ち合わせをしていた。 「今日は一緒に映画を観たくて誘ったんだ。  良いかな?一度観てみたかったんだ、  北の国から。」 「北の国からかあ。俺も好きです。  カズヤさんヒューマンドラマ好きなんすか?  俺結構こういう作品好きなんですよ。  でも北の国からはいくつか見逃して  ストーリーが処々判らなくて。  今度最初からレンタルして観たいなあ。  その時は一緒に観ましょうよ。  あっもうすぐ始まるみたい、  チケット買いましょう。いくらっすか?」 席は中段の端。北の国からはもう上映して 一ヶ月が経つ頃なので周りに人は居なかった。 席に着く頃には辺りが暗くなり、 予告が始まっていた。 予告が終わり本編が始まる頃辺りで、 カスヤの右手がマサキの左手に重なり、 指を優しく絡ませた。 (か、カズヤさん、手が温かいなあ。  あ、カズヤさんの親指が俺の手のひらを  優しく行ったり来たり、ああ気持ち良い。  ヤバイヤバイ、映画集中。純ー螢ー。) 映画が終わり、近くにあるデパートの レストラン街にあるオムライスとオムレツの お店に行き、店員に案内され席に着いた。 「カズヤさん、オムライス好きなんすか?  良いっすよねー。今日はなんだか、  カズヤさんに色々と決めさせちゃって  ゴメンナサイ。俺結構無計画だから、  こんな奴ですがこれからも仲良く  してください。あっ何注文しますか?」 「僕はワインとケチャップのオムライスの  セットにしようかな?マサキくんは?」 「俺はデミのオムライスとパンのセットに  アイスコーヒー食後で」 店員に注文を済ませると、 カズヤが目をキリッと真剣な表情で 話し始めた。 「どうしても北の国からを一緒に観たくて  マサキくんを誘ったんだ。  それから、本当はね、出会った次の日から  年末までずっと毎日マサキ君に  会いたくて電話したんだ。  でも電話が繋がらなくて心配して不安だった。  マサキ君に何かあったんじゃないのか?  マサキ君に嫌われちゃったのかな?  とか色々と考えちゃって頭がぐちゃぐちゃに  なり行き慣れない新宿2丁目に初めて  行きました。」 「少し電話で聞いていたけど、  俺に会いたいって事を聞いたとき、  俺、凄く嬉しかったっす。  俺も会いたかったっすから。  2丁目行ったんすか?  俺はまだ一度も行った事がないんです。  どんな所なんすか?」   「マサキくん、僕はマサキ君に一目惚れ  しました。僕がマサキ君に連絡取れなくて  どれだけ泣いた事か。  もう大晦日の夜はマサキ君に失恋したと  勝手に思いそれで2丁目に出向いたんだ。    遊びにって訳じゃなく誰かに話したくて。  僕がマサキくんを好きになって  でも一度会っただけでそれ以降連絡取れなく、  僕は本当に辛かったんだよ。  でもマサキくんと連絡できて  こうして会えて、今日は最高です。  僕、実は今日が誕生日なんだ。  僕の好きな北の国からをマサキ君と一緒に  誕生日の日に、見たかったんだ。  今日は僕の観たい映画に付き合ってくれて  本当にありがとう。  そして良かったらこの北の国からの  純と五郎のようにずっと一緒に  支えあって生きていきたい。  僕と付き合ってください。」 カズヤの急な真剣な告白と、 今日が誕生日だと知りマサキは動揺していた。 (カスヤさんの告白嬉しいけれど、  まだ二回目に会ったばかりだし、  まだお互い判らないし、  付き合うとか正直まだよく判らない。  どうしよう。それにカズヤさん今日  誕生日なの?早く行ってよ、  プレゼント用意してないじゃん。) 「カズヤさん、返事はもうちょっと   待ってもらっても良いですか?  正直俺の頭が今真っ白で。  でも俺凄い嬉しかったです。  俺はカズヤさんを初めて会った時、  何をしたって訳じゃないけど、  ご飯食べて一晩車の中だけど  ずっと一緒にいて俺を抱いてくれて  あっこの人凄く優しい方なんだな。  俺の事大事にしてくれる方なんだなと  思いました。それにカズヤさんカッコ良いし  話も合うし俺、素敵な人と出会ったなとも   思ってます。  だから付き合うという事をちゃんと  じっくり考えようと思ってます。  カズヤさんの真剣さが伝わり、  俺も真剣さで返事をしたいから。  だからしばらく待って貰っても良いですか?  一週間後返事をします。  あっそれと、今日カズヤさんの誕生日  なんですね?前に言ってくださいよ。  今丁度デパートなんだし、  ご飯食べ終わったらカズヤさんの  プレゼント買うのでカズヤさん、  何が好きなのか教えて下さいね。」 マサキはカズヤとじっくり選び、 グリーンとブルーのカシミアのマフラーを プレゼントしてカズヤを喜ばせ、 それからカズヤの部屋に行き、 朝まで一緒に熱い夜を共にした。 「マサキって掌に性感帯あるよね?笑」
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