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サナの足の裏には、星座がある。それは、僕だけが知っていることだ。
見た目には、それはほくろだ。だけど本当のところは、それは星座である。なぜそんなことが言えるのかというと、僕はほくろで星座を作れるという才能があるからである。
たとえば、僕の右の頬。黒々としたのは一等星。薄くて弱々しいのは八等星。そのまわりの中くらいのほくろをつなげると、アルファベットの「V」座である。
なんだそんなことかと言うなかれ。こんな才能がある人間が、この世にどれほどいるだろうか。
そして、ほくろの星座などと侮るなかれ。ヒトの体に現れては消える無数のほくろは、もしかしたら星空からのメッセージかもしれないではないか。
サナは、僕のいとこである。結婚できないけれど子どもは欲しかったおじさんが、養護施設からサナを授かった。だから僕とサナは、幼稚園に上がるくらいからいつも一緒だった。
サナの足の裏の秘密は、多分おじさんも知らない。おじさんは星座なんかに興味ないから。多分ほくろにも。
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