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それなのになぜ僕がサナの星座に気づいたかというと、おばあちゃんの葬式があったからだ。拷問に近いお経の時間中、僕は前で正座するサナの足の裏を凝視していた。
夏で、サナは素足だった。左足に二つ、三つ。右足には四つもある。薄いけれど、つなげるとアルファベットで言うと「Q」だろうか。ひらがなの「ぬ」でもいけそうだが、「ぬ」座よりも「Q」座の方がかっこいいので、サナの足の裏は「Q」座に決定した。
「Q」座のひとつは、さそり座のアンタレスのように赤茶色だった。見つめていると僕の世界は真夏の夜空になる。
サナは実は、さそり座からやってきたさそり姫のサーナなのだ。
運命を司る十二星座を破壊し、運命を我が物にしようとするダークな新星座軍に、さそり座は乗っ取られてしまった。命からがら逃げ出したさそり王は、銀河系をさまよった末に、太陽系の青く光る地球という名の星に流れついた。
この星の生き物は、無知ではあるがどうやら無能ではないらしい。核兵器や化学兵器など、戦いに使う道具はひょっとすると、自分たちより残酷で威力があるようだ。
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