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しかしそんな折、サーナの足の裏の星が震えた。見ると、赤く光っている。さそり王からのメッセージだ。
サーナは足の裏を壁に当てた。すると、壁にさそり王が浮かび上がった。
「我々の足取りが新星座軍に見つかってしまったようだ。抵抗される前に、皆殺しにするつもりかもしれない。今すぐここから逃げなければ」
「そんな。まだ私は何一つ成し遂げておりません」
「もういいのだ。この星は少し広すぎたようだ。また別の星を探そう。新たな大量破壊兵器の存在が知れただけでも収穫だ。また戻ってこればいい」
「どうしても、今すぐ行かなければならないのですか」
「そうだ」
「この星の生き物は、どうなるのですか」
「……知らん。でも、大切なのは、我々が運命を守ることだ。それが、銀河系全体の命を守ることになる」
サーナは、何も答えることができなかった。
時間は、刻一刻と過ぎている。
答えなければ。
何とか、答えを。
はっと気づくと、広間で一人きりだった。
お経の途中で寝てしまったらしい。背中に敷かれた座布団が、汗でびしょびしょに濡れている。
みし、みし、と足音が近づいてきて、ふすまが開いた。
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