1章

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「はい、小林くん。これやっといてね。」 そう言って皆川課長は僕のデスクに2センチほどの紙の資料を叩きつけるように置いていく。僕はこの会社で営業をやっている。 今年で入社して5年目になるが、仕事の覚えも遅いし、仕事も終わり切らずに残業することもある。 それでも5年目だからと割り振られる仕事の量や責任は日に日に増えている。 とは言っても同期に比べればまだまだ少ないものではあった。 「課長、これはいつまでですか」 「うーん、じゃあ今日中で」 悩む時点で今日中でないことは明らかだったが少し期待を抱いたのも事実だった。 そのまま一度部屋から出ていくかちょの背中を見送りつつ 「またかよ…………」 そんな愚痴が思わず口から漏れる。
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