1章

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自分がデータを無くしたわけではないことに安心したが、資料の作成者が自分の名前であるとまずいことを思い出し、一旦真鍋から作ってもらった資料のデータを受け取る。 「めちゃくちゃ助かったわ、今日も残業コースかと思ったし」 「いや、もう既に定時超えてるから残業だけどな」 そう言って笑いながら真鍋は自分のデスクに戻る。 周りを見渡すとたしかに殆どの人は帰っているか帰る支度をしているところだった。 「なあ、圭太ももう帰るでしょ?久しぶりに一緒に駅まで行こうぜ」 既に荷物をまとめていた真鍋は自分の鞄を取ってこちらへ戻ってくる。 「あー、悪い。もうちょいやらないといけないことがあってさ」 顔の前で両手を合わせて申し訳なさそうにしてみる。
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