それでも私は酢豚にパイナップルを入れたいの

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私は夫の帰りを待つ間 夫との出会いを思い出していた 婚活パーティーに参加してるけど 別に結婚したいわけではなかった 言い寄ってくる男を適当に相手してれば貢物や 食事までご馳走になるし何よりチヤホヤされる でも下心丸出しの男達を相手にするのも疲れた 今回の婚活パーティーで最後にしよう そう思ってた そんな時、会場の隅っこで なんともまぁ冴えない男を発見した 最後だしこの男で憂さ晴らししょっと こんにちは。 うふふ きょどってるきょどってる 女性に免疫力のないところが 少し可愛いと思えた よく分からないうんちくにも 一生懸命に私に分かりやすく 優しい口調で語りかけると思いきや オットセイのモノマネを急に披露してきた な、なんなのこの人 楽しいじゃないの 思わず私からデートに誘ってしまった 遊びの延長戦 自分にそう言い聞かせるも デート当日私は勝負服 勝負下着を 着けてワクワクしていた。 彼はイメージ通りの私服姿the,普通 けど私にはそれが新鮮だった 初デートにラーメン屋での食事 1日中ありのままの自分でいられた 時間も7時には解散も好印象 最後にバイバイする時に彼は リンボーダンスのうんちくを語った ダンサー数人が棒くぐりに成功すると 彼らは一列縦隊になるんです 棒は少しずつ地面近くに向けて低くされていき この棒をダンサーの列が次々にくぐります 棒や地面に触れた者は脱落し 最後の1人が残るまでダンスは続くんです 「僕はあたなの最後の1人になりたい」 なんてロマンチストなのかしら こうして私に近づいて来た男達は脱落し 彼は私の夫になる ガチャ…ン ドアが開く音がした どうやら夫が帰宅したようだ 妻は電気も付けずにテーブルに座っていた ラスボスの雰囲気が漂う なんてこった…先手を打たれていた すでに妻のテリトリーと化している3LDK …た…ただいま …… 返事はない。タダのドSのようだ 只ならぬ妻の気迫にいつもの僕に一瞬で戻る 猫背になり一重になりゆっくりと席に着く …あ…あの〜… バンッ!!! ビクッ… 妻がテーブルに叩きつけたのは 伝家の宝刀 離婚届 だった …開いた口が塞がらなかった
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