プロローグ

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プロローグ

「コーヒーのおかわりはいかがですか?」 ほほ笑みかけるウェイトレス。 「お願いします」 私も笑顔でうなずいた。 「ねぇ!見て見てっ。ミユの新しい彼氏、すんごいカッコイイのっ」 「えーっ。どれどれ?」 通路を挟んだ隣側のテーブルから、楽しげな女子高生達の声が聞こえてきた。 写真やプリクラなんかを数人で見せ合いっこして、きゃーきゃー大騒ぎ。 近くの年配のおばさま達は、ちょっとうるさそうに迷惑そうに彼女達の方を見ていたけれど。 私は、なんだか楽しそうにはしゃいでいる彼女達が可愛く見えて。 窓側の自分の席から、ぼんやりと眺めていた。 私があんな風に制服を着ていたのは、もう10年も前のこと。 早いなぁ。 もう、そんなに経つんだね。 今日はね、私の27回目の誕生日なんだ。 ちょうど10年前の今日、私は17歳になっていたんだね。 制服姿のあの子達と、あの頃の自分の姿が重なった。 むろん、私はあの子達みたくパッと目立つような高校生ではなかったけど。 と、その時。 私は、その中のひとりの子に目が止まった。 なんか、あの子……早紀(さき)に似てる。 あの頃の早紀にーーー。 容姿といい、雰囲気といい。 その少女は、当時の早紀にとても似ていた。 そんな女子高生達の姿と、あの頃からちょうど10年という節目のせいか。 私は17歳の頃のことを思い出していた。 私にとって。 忘れられない、特別で大切な〝時〟となった あの、17歳の頃のことをーーーーーーー。
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